今回は桜井のりおさんの『僕の心のヤバイやつ』の紹介です!
この作品は2019年に
- 次にくるマンガ大賞Web部門5位
- 『このマンガがすごい!2020』オトコ編第3位
- マンガ大賞2020 11位
と輝かしい賞を受賞し、そして2020年ついに次にくるマンガ大賞Web部門で1位を受賞しました!
『僕の心のヤバイやつ』を連載開始当初から追ってきた身としては「次にくる」というより、もう来すぎてしまっている作品なのですが、この賞をきっかけにより多くの人に読んでもらえたらなと思っています。
また、この作品は非常に考察が楽しい作品でもあります。
この記事の後半に1巻の感想と考察を載せますので、ぜひそれらも参考に『僕ヤバ』の世界を楽しんでいただけたらなと思います!
そんな今大注目の『僕の心のヤバイやつ』をおすすめしたいのはこんな人!
- 小さな変化や気づきのあるラブコメを楽しみたい人
- 展開の考察や深読みをしたい人
- かわいい2人の成長を感じたい人
『僕の心のヤバイやつ』は週刊少年チャンピオンで短期連載した後、マンガクロスで連載されています。
あらすじと紹介
あらすじ 学園イチの美人・山田杏奈の殺害を妄想する中二病男子・市川京太郎。 ある日、市川は図書室で山田の意外な一面を知ったことをきっかけに、山田のこれまでのイメージとはかけ離れた彼女の内面を知っていく。 山田と関わっていくことで「殺したい」とは別の感情を持ち始める市川。 そしてそれは市川だけではなく、山田の心にも……。 |
桜井のりおさんは『みつどもえ』『ロロッロ!』といった代表作がありますが、『僕の心のヤバイやつ』はそれらの雰囲気を残しつつ、また新しい作品になっています。
陰キャ中二病男子と陽キャモデル女子のラブコメは中学生らしい感情と環境の中でで進んでいき、読んでいてキュンキュンしてしまうこと間違いなしです。
他の作品に比べて特にうまいなと思うのはまず感情の変化と表情の見せ方。
絵やセリフで語らせすぎてしまうラブコメ作品が多い中で『僕の心のヤバイやつ』は最低限の表現の中で「変化」をみせてくれます。
特にこの物語は市川の一人称で進むため、山田をはじめとする市川以外の登場人物の感情や言動の理由を読み取っていく楽しさがこの作品にはあります。
また最新話が更新されるたびにTwitterでは考察班が動きだし、考察合戦が起こるほどなので、そうした読み解きを多くの人が楽しんでいる作品といえるでしょう。
さらに桜井のりおさんのTwitterでは不定期でおまけ漫画がツイートされています。
単行本では読むことのできない市川と山田の日常を垣間見ることができるので、ぜひTwitterもチェックしてみてください!
そして単行本1巻ごとにテーマが意識されているのも読んでいてすごさを感じる点です。
それぞれの巻でまとまった作品になっており、最終話での展開の持っていき方には舌を巻きます。ぜひとも単行本で読む際には各巻での展開に注目し、その中でどのような変化が起こっているのかを楽しみながら読んでみてください!
1巻のレビュー(ネタバレ要素が少し含まれますので注意してください!)
1巻の感想と考察を語っていきたいと思います。少しネタバレ要素があるので、紹介だけで作品を楽しみたい人は注意してください!
まず1巻を読んでの感想は 最高。 この一言に尽きます。
山田だけではなくクラスのこともよく把握し、時には自分を犠牲にしてしまう優しさを持つ市川。普段は大雑把でどこか抜けたところがあるのに人の優しさにはしっかりと気づくことができる山田。
この2人もうかわいすぎ……。
1巻では市川が山田に対する恋心を自覚するところまで描かれます。
最初は山田のことを外見や周りからの情報でしか知らなかった市川。彼が山田の内面をさまざまな形で知ってくことで1巻の物語は進みます。
「山田を殺したい」という負の感情が徐々にそれが恋心になるという大きな変化を、話数を重ねながら少しずつ描くことで市川の感情を理解しやすくなっているのがいいですね。
また、市川が好きという感情に気づいたときに別の言葉でごまかすことなく、「好き」と言葉にすることで「殺したい」との対比がより鮮明になってその変化を感じることができます。
1巻は作品としても完成されています。
karte1(1話)では図書室という2人だけの空間の中、山田の意外な一面を知ることで市川の山田に対する印象が変わり、karte2以降でその変化が市川の行動や環境に影響していきます。
しかしこの作品構造が1巻の最後、karte14・15ではまったく逆になっています。
karte14で山田は体育の授業でケガをし涙を流します。その山田の姿を見た市川は恋心に気づことになります。そしてこの市川の変化・気づきはkarte15の図書室での市川の行動へと影響していくのです。
「殺したい」という感情から「好き」という逆の感情への変化を図書室からその他の空間、その他の空間から図書室という逆の構造の中で、しかもそれを1巻の中で表現しているのはすごいとしか言えません!
また、karte1とkarte15での図書室のシーンで山田座った位置と市川の立っている位置、そしてパーティー用ポテトチップス(コンソメパンチ)という空間が同じになっているのもポイントですね!
まとめ
以上、『僕の心のヤバイやつ』の紹介と1巻の感想・考察でした!
2巻以降も怒涛の展開ばかりで胸キュンしまくり間違いなしなので、興味を持ってくれた人はぜひ読んでみてください。
またマンガクロスでは最新話も読むことができるので、そちらもぜひチェックしてみてください!