今回ご紹介するのは『ちーちゃんはちょっと足りない』『空が灰色だから』などの代表作がある阿部共実さんの『潮が舞い子が舞い』です!
この作品は私が「次にくるマンガ大賞」にノミネートされるべきだとずっと推している作品でもあります。
ぜひ皆さんにもこの作品のおもしろさを知っていただき、多くの人に読んでいただけたらなと思います!
そんな『潮が舞い子が舞い』をおすすめしたいのはこんな人。
- 学生の日常を舞台にした青春コメディを読みたい人
- 個性のあるキャラクターに多く登場してほしい人
- コメディだけど学生らしい悩みや不安も描いてほしい人
簡単な内容と見どころの紹介
海辺の田舎町。高校2年生の男女が織りなす青春群像コメディ。
引用にあるように、潮が舞い込む海辺の田舎町を舞台に高校2年生の男女を中心にした青春群像コメディになります。
この作品の特徴の1つは登場人物の多さです。
男子、女子、陽キャ、陰キャ、オタク、ヤンキー……などなど、さまざまな属性を持った人物、グループが登場します(しかもかなりぶっ飛んでる子が多い)。
その登場人物の全員が本当にかわいくて、きっと読んだ人には何人もお気に入りの子ができちゃうと思います。
作品はその内の誰か1人、1つのグループが主人公となって物語が進むのではなく、各話ごとに人物に焦点が当てられ話が進みます。
性格や所属しているグループが違えば1つの物事に対する考え方もそれぞれ。恋愛や他愛もないことについて仲間と駄弁ったり、いかつすぎる持論をしゃべくり漫才のように展開したりと、登場人物それぞれの個性溢れる話が展開されるので読んでいて飽きることがありません。
そしてこの作品がコメディとして楽しめるのは物語のテンポの良さと阿部共実さんの言葉のチョイスにあると思います。
先ほどしゃべくり漫才のようにと例えましたが、この作品はボケの数が多く1コマでボケとツッコミが完結するので非常にテンポがいいです。さらに語呂がよくて耳に残る言葉が多く使われているので、読み進めれば進めるほど『潮が舞い子が舞い』の世界に引き込まれてしまいます。
もう1つの特徴はこの作品がただのコメディでは終わらず、悩みや不安も描いていることだと思います。
阿部共実さんの他の作品では読んでいて気持ちが落ち込んでしまう独特の「やりきれなさ」が描かれることが多いです。『潮が舞い子が舞い』では他作品のような暗くなる要素はないものの、高校2年生らしい等身大の悩みや不安は描かれています。
例えば進路や将来のこと。例えば自分がどうしても苦手で気にしていること。
こうした悩みや不安は私たちが学生時代に1度は経験したこと、考えたことがあるでしょう。それらがしっかりとコメディの中に落とし込まれているため、最後まで笑いながらも強い共感と爽やかな読後感が得られるんだと思います(もちろん悩みや不安自体をバカにするようなことはなく)。
単行本の中にはコメディが少し薄くなり、そうした高校生らしさが色濃く出る話もあります。あなたがそれを初めて読んだときにドキッとするのか、より強い共感を覚えるのかはわかりません。
しかしきっとその時の心には潮風が舞っているのではないかと思います(うまいこと言ってみたかったんです)。
ピックアップ・キャラクター!
『潮が舞い子が舞い』には非常に多くの魅力的なキャラクターが登場するのですが、今回は作品の紹介も兼ねて僕の推しキャラかつ、「マンガクロス」での登場回数が多い右佐くんを紹介した思います。
※2021/1/20までweb版『潮が舞い子が舞い』が「マンガクロス」で全話公開中のようなので、興味を持った方はぜひ読んでみてください! (https://mangacross.jp/comics/shiomai/19)
これ以降少しネタバレ要素があるので、紹介だけで作品を楽しみたい人は注意してください!
オタクグループに所属する右佐くんは「有名監督の本当の傑作はデビュー作品」「みんなが食べているスイーツは実は身体に悪い」のように逆のことを言ってかましてしまう男の子です。
だけど仲のいい子たち以外には人見知りで、特に女の子と話すときは両サイドの髪の毛(ウサ耳?)をピコピコ動かしながらテンパってしまうことが多いです(かわいい)。
これだけだと自分の周りにもこういう人いるな~という感じなのですが、右佐くんの本当にいいところは根がすごく優しくて気配りができるところ。
彼はたとえ人見知り発動中でも、テンパっていても相手が本当に嫌がっていることや気にしていることには反応し、彼なりに理解して何か自分にできないかと行動できるんです。
そんな優しさに満ちた彼の姿に思わず「キューーーン」してしまうこと間違いなしでしょう。
右佐くんに関わる話の多くは「マンガクロス」で読むことができます。ぜひ皆さんも右佐くんの優しさ溢れる物語を読んでみてください!
以上、『潮が舞い子が舞い』の紹介でした。
興味を持たれた方は、ぜひともこの作品の世界を楽しんでほしいと思います!