今回紹介するのは新川直司さんの『さよなら私のクラマー』です!
『四月は君の嘘』の新川直司さんが描く女子サッカー漫画で、アニメ化も決まっており2021/4/4から放送されます。ぜひこの記事で漫画にもアニメにも興味を持っていただけたらと思います。
また『さよなら私のクラマー』には前日譚にあたる『さよならフットボール』という作品があります。『さよなら私のクラマー』につながるところもあり、こちらも2021年初夏に映画化されるので興味がある方はこちらも読んでみるのをおすすめします。
『さよなら私のクラマー』をおすすめしたいのはこんな人!
- 戦術要素の多いサッカー漫画を読みたい人
- 練習よりも試合描写が多い作品が好きな人
- 女子サッカーの現状と未来に立ち向かう少女たちの姿を楽しみたい人
あらすじと見どころの紹介
累計400万部突破!『四月は君の嘘』の著者・新川直司の最新作は、女子サッカー。中学時代輝くことなく終わったウイング周防すみれは、ライバルである曽志崎緑から誘いを受ける。「一緒のチームに行こうよ、一人になんてさせないから」。そんな真摯な言葉に、周防が出した答えは・・・・。たくさんの個性豊かな選手が集まり、今物語の幕が開く!!
弱小校である蕨青南高校に集まった個性派ぞろいのプレイヤーたちが強敵たちと競い、成長しながら女子サッカーの夢を追いかけていく物語です。
この作品は誰か一人にスポットライトが当てられ進んでいく作品ではなく、キャラクター全員の物語が描き出されて展開される群像劇に近いです(アニメ版では映画とのつながりで恩田希が主人公になる可能性もあります)。
蕨青南高校にはあらすじにある周防すみれ、曽志崎緑をはじめ『さよならフットボール』の主人公・恩田希など個性豊かなキャラクターが集まります。
彼女たちには挫折や才能を環境に潰された過去、愚直に夢を追い求め続けているなどそれぞれのドラマがありそれが作品に深みを持たせています。
そうしたドラマや成長が主に描かれるのが試合のシーンです。『さよなら私のクラマー』は他のサッカー漫画に比べ練習描写が少なく、序盤から紅白戦、練習試合、大会と試合が続いていきます。
対戦相手との因縁や強豪校の戦術など多くの壁や困難が彼女たちを成長させていくというのはスポーツ漫画の王道ですが、新川直司さんは試合の一瞬の切り取りや過去の描き方がうまくそこからドラマチックに物語を描き出しています。そのため蕨青南高校のメンバーをはじめ、対戦相手たちが繰り広げるぶつかり合いには思わず手に汗握ってしまうこと間違いなしでしょう。
またこの作品ではサッカーの専門用語が頻繁に出てきます。ポゼッションサッカーとカウンターサッカーという基本的な戦術からロべカル(ロベルト・カルロス)、ペレのような個人名、ジダンが得意としたマルセイユルーレットのようなテクニックまで登場します。
こうした戦術面もしっかりと描写されているのは試合展開に深みがでますし、サッカーファンとしてはこう言った単語の登場についついテンションが上がってしまいます。
こうした用語をしらなくても作品は十分に楽しめるようになっているのですが、もし知らない単語が出てきたらYouTubeなどで調べることをおすすめします。今は簡単にプレー映像が出てきますし、そのテクニックや戦術を知ることでより深く『さよなら私のクラマー』の世界を楽しむことができると思います。
ピックアップ・キャラクター
これ以降少しネタバレ要素があるので、紹介だけで作品を楽しみたい人は注意してください!
『さよなら私のクラマー』から紹介したいキャラクターは蕨青南高校の監督・深津とコーチの能見です。
深津はロクに指導をしないぐーたら監督で周防たち1年生が入部する前の部内崩壊の原因となっています。しかしサッカー戦術に関する知識は豊富で、対戦相手の狙いとそれに対し自チームがすべきことを的確に判断する能力があります。
彼が現在のようになってしまったのは過去に指導者として経験した挫折が原因です。その挫折について詳しくは書きませんが、それにより受けた傷は周防たちの情熱を前にして徐々に変化していきます。
一方で能見は15年間日本女子サッカー界をけん引してきたレジェンドで、指導者として経験を積むため蕨青南高校のコーチになりました。レジェンドではありますが指導は感覚的なことが多く、指導者としてはまだ半人前といった感じです。
彼女の目標は指導者として日本女子サッカーを担う選手を送り出すこと。そして若い選手たちが全力でプロを目指しプレーできる環境を整え日本女子サッカーの未来を生み出すことです。
この作品では少女たちの成長を描くとともに日本女子サッカーの未来というテーマがあります。
能見は日本女子サッカーの最前線でプレーしてきましたが、女子サッカーの人気を日本に定着させることはできませんでした。そのため能見の視点から日本女子サッカーの現状、そしてこれから何が必要なのかを考える場面も多いです。
また日本女子サッカーの未来を作っていくためには選手の能力だけではなく、きちんとした指導者などの環境も必要不可欠。
監督とコーチとして1つのチームを指導することになった深津と能見がどのように成長していくのか。また作品に登場するさまざまな指導者たちが目の前の勝利だけではなく、日本女子サッカーの未来のために何を考えているのかにも注目して作品を楽しんでいただけたらなと思います。
以上、『さよなら私のクラマー』の紹介でした!
2021/2/19現在では13巻まで発売されているのですが、連載はすでに最終回まで掲載が終わっています。
最終巻はアニメの放送に合わせて発売されるのかなと予想しているんですが、どのような展開で作品がフィナーレを迎えるのか楽しみです。
興味を持っていただけた方はぜひ読んでみてください!