今回ご紹介するのはジャスミン・ギュさんの『ケンシロウによろしく』です!
ケンシロウといえばもちろん『北斗の拳』の主人公・ケンシロウですが、『ケンシロウによろしく』はそのケンシロウに憧れ復讐を果たすために努力を続ける男の物語となっています。
『北斗の拳』を読んだことのある人はもちろん、読んだことのない人でも十分に楽しめる作品です。
そんな『ケンシロウによろしく』をおすすめしたいのはこんな人!
- 『北斗の拳』が好きな人
- 1人の男の復讐の物語を読みたい人
- コメディも一緒に楽しみたい人
あらすじと見どころの紹介
沼倉孝一は、幼い頃に木村という名のヤクザに母を奪われた。復讐を誓った沼倉は、漫画『北斗の拳』を読み続けることによって伝説の暗殺拳を体得し仇を討とうとする。
これは復讐に燃える男が暗殺拳を極めようとした果てに人々を幸せにする物語である。
あらすじにある通り、『ケンシロウによろしく』は10歳の時に母を奪われその復讐に燃える男・沼倉が『北斗の拳』を読み漁り、体を鍛えることによって身につけた技術で多くの人を幸せにしていく作品です。
まずこの『北斗の拳』を読んで復讐するという設定が本当におもしろい!
『北斗の拳』を読んだこと見たことのある人なら誰しもが北斗神拳に憧れ、北斗百裂拳の真似をしながら「あたたたた……!」と叫んだことがあるのではないでしょうか。
そして私たちの多くはケンシロウを、北斗神拳を架空の世界のものと知りやらなくなっていくのですが、沼倉は違います。母を奪ったヤクザに復讐するため北斗神拳を純粋に信じ、修行を続けるうちに凄腕のマッサージ師にまで上り詰めてしまいます。
これだけでなんてアホな設定なんだと思うのですが、これがハマってしまうと笑いが止まらなくなるくらいおもしろいんです。
また沼倉の『北斗の拳』に対する信仰心の強さもおもしろさの1つ。
母を失ってから『北斗の拳』だけを心のよりどころとして生きてきた男の脳はケンシロウに支配されており、読んでいてヤバイヤバイと思うような発言を連発します。
それらは『北斗の拳』を読んだことのある人ならば理解できないものではないのですが、『北斗の拳』を詳しく知らない助手の坂本里香からはドン引きされることもしばしば。
この沼倉とそれに振り回される里香のやり取りも漫才を見ているようで笑ってしまいます。
そんな『北斗の拳』の狂信者・沼倉の復讐が物語の中心ではあるのですが、沼倉自身の人間としての成長も描かれています。
復讐を果たすための過程で出演することになったテレビ番組や里香との交流によって生まれ育っていく沼倉の人間性は復讐心との対比になり、物語の深みになっていると思いました。
ピックアップキャラクター
これ以降少しネタバレ要素があるので、紹介だけで作品を楽しみたい人は注意してください!
『ケンシロウによろしく』でピックアップするキャラクターは沼倉マッサージに助手として働くことになった坂本里香です。
里香は指圧師を目指している女性で昼間は専門学校に通い、夜は寝たきりの父の看病。その後には生活費と学費を稼ぐために風俗で働いているという苦労人です。
彼女がこの作品で果たしている役割はツッコミ(とユリア)。沼倉の助手として働くまではケンシロウのケの字も知らなかったような彼女は読者に近い立場になって沼倉の危険行動にツッコんでいってくれます。
その一方で里香は沼倉のマッサージ師としての技術に惚れこんでおり、復讐を誓った幼い頃のまま育ってしまった沼倉を人間として成長させる場面もあります。
寝たきりになってしまっている父との関係も含め、今後の物語で沼倉とともに成長していくキーマンですので、ぜひ作品を読む時には彼女の変化も一緒に楽しんでいただければなと思います。
以上、『ケンシロウによろしく』の紹介でした!
復讐をテーマにしながらも笑って楽しめるコメディ作品ですので、ぜひ多くの人に楽しんでいただければと思います!